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1000円カットを利用した経験は皆さんありますか。
美容院とは大きく異なりパーマやカラー等は一切なく、カットにのみに特化した理髪店です。利用者の多くは男性であり、年配の方を中心に支持されています!今回はそんな1000円カットの中でも、仙台駅近くのとある店舗から売上を伸ばしたいという相談を受けたとします。この記事では売上をフェルミ推定で算出した後、売上を伸ばすための施策を実際に考えていきます。

まず、現状分析を行い構造化をすることがフェルミ推定や売り上げ向上施策を考えることに繋がります!
構造化の目的は全体を構成する各要素の関係を明らかにし、図示することです。注意すべきことは、構造化はあくまで目標を達成する為の手段に過ぎないということです。今回の場合だと1000円カットの売上を伸ばすことが目的であり、手段として情報を整理するために構造化を行うということです。

また、構造化を行う為には物事を論理的に考える必要があります。論理的思考力やロジカルシンキングと呼ばれることもあります。
構造化を論理的に行う為によく使用されるのがロジックツリーであり、ツリーを作るときに注意すべきなのは「トップダウンで作る事」、「MECEであること」の二つです。このお話は後日、詳細に説明する予定です。

実際に1日当たりの1000円カットの売上を構造化していきましょう。
売上は「客数」と「客単価」の積で表すことができますよね。1000円カットの客単価はもちろん1000円です。このことから掘り下げていくべき要素は客数です。一日当たりの客数はどのように構造化、つまりどのように因数分解できるでしょうか。

答えは「席数」,「着席率/h」,「回転率/h」,「営業時間」の積で表すことが出来ると考えています。
ただし、注意すべきことは着席率は時間帯によって影響をうけることが考えられます。

時間帯によって大きく変化しそうな着席率を考慮して構造化した各要素に数値を代入していきます。
フェルミ推定で重要なことは算出した値の正確性ではありません。いかに構造化を通して、全体を構成する各要素の関係を明らかに出来ているかということです。加えて、ケース面接は思考実験であるため算出した値の単位やケタがあっていれば、さほど問題はないでしょう。

このことを踏まえて構造化した各要素に値を代入していきます。値の正確性はさほど重要ではありませんが、代入する値の一つ一つに根拠を持つことを意識しましょう。
例えば、着席率を時間帯順に50%、70%、30%としていますが、これは1000円カットのピーク時は現在のターゲットが年配の男性客であると考えており、「昼」と特に「夕方」にあると考えているからです。また、ピーク時に合わせて回転率も代入しました。

その結果、1000円カットの平日1日の売上は61800円と算出することが出来ました。
※あくまでこれは思考実験であり、事実と異なる場合があります。

ボトルネックとは目的の達成に最も影響を与える要因のことを指しています。
今回のお題の場合、構造化した要素のうち1000円カットの売上を伸ばすのに最も大きな役割を果たすものをボトルネックとします。
構造化した一つ一つの要素を考えていきます。

まず、席数を考えていきます。
席数を増やすことは売上の向上を望めますが、投資額も大きいことに加えて着席率や回転数が上がらない限り、費用対効果△
営業時間を延ばすことも同様に着席率や回転数が上がらない限り、費用対効果△
客単価を伸ばすことは1000円カットの長所を消してしまい、客数の減少を招きます。

着席率と回転数が低いという事はそのまま単純に客数が低いということを表しています。
では、なぜこのような事態が起こっているのでしょうか。AIDMAモデルを使って考えていきます。

仙台駅近くに立地していることを考えるとAIDMAモデルのA(認知)に課題は少ないはずであり、次のステップの「関心」と「欲求」に課題がありそうです。さらに深くこの問題を考えると、ターゲットである年配の男性客に1000円カットのそのものの魅力や便益、またはその供給側の伝え方に課題があり、関心と欲求を掻き立てられていないと考えます。

ですが、果たして本当にターゲットに対して便益が魅力的ではなく、正しく伝わっていないのでしょうか。
まず、供給側の便益(What)を考えます。1000円カットの便益は「低価格」と「その手早さ」を提供していると考えられます。

では、消費者は1000円カットを含むサービスを購入する際にどんな判断基準を持っているのでしょうか。
それは「便益に掛かるコスト」と「便益の質」であると考えます。消費者側には1000円カットの提供する低コストは魅力的であり、正しく伝わっていると考えられます。

その為、課題は1000円カットの提供する「便益の質」、またはその「伝え方」にあると考えられます。1000円カットの便益の質は一定の基準は満たしており、消費者側からは美容院のサービスの質の違いは正確にわからないですよね。

そこで、ボトルネックは便益そのものではなく、「供給側の伝え方」にあると考えられます。

改めて、ここまでの議論を整理します。

構造化した時の課題は「着席率」と「回転数」にあると考え、それをAIDMAモデルを使い深掘りすると「興味」と「欲求」に課題があると分かります。また、消費者の興味と欲求に訴求できていない理由を供給側の提供している便益と、消費者のサービスに求める「便益のコスト」と「便益の質」を比較し、消費者の求める便益の質に課題があると考えることが出来ました。

「便益の質」は供給側の提供する便益そのものと供給側の伝え方に分類できます。
1000円カットの便益そのもの、つまり髪を切るという行為はサービスを受け取る側にとって理解しにくいですよね。
そこでボトルネックは便益の伝え方にあると考えました。

深掘りを行い具体的になった課題ほど、アイデア出しをするのは課題を裏返すだけで良いので容易です。
供給側である1000円カットの美容師さんのサービスの質の高いという事を、ターゲットが年配の男性ということもあり、折り込みチラシで伝える事がシンプルではありますが、有効であると考えられます。

また、質の高さをアピールするためには店内の清掃や従業員の教育等も有効であるかもしれません。